当事務所の特徴
〜90点を目指す家づくり 誇りの持てるすまいを目指して〜
全てのお客様が沢山の強い想いをお持ちです。もちろん全て実現できれば良いのですが、敷地条件や予算、法的制約など様々な条件があります。全てを実現することは正直難しいと思います。
当事務所*ではいっしょに試行錯誤を繰り返す事で家づくりのメインテーマを明らかにしていきます。その際にあえて「100点満点ではなく、90点くらいを狙う」という意識が大事だと思います。要求をできるだけ詰め込んでしまった結果、なんの魅力もない家になってしまっては本末転倒です。絶対に実現したいところは譲らない、我慢できる所は我慢する。。。適度なメリハリをもつことはとても大切だと思います。
*「当事務所」と言ってもスタッフやアルバイトすら一人もおりません。案の検討、様々な模型の作成、お施主様との打ち合わせ、工事費の査定、現場の管理、アフターフォロー。。。全ての業務を最初から最後まで僕自身が全責任を持って対応することを最も大事にしています。
設計方針
1.施主の個性を尊重します
建築家のエゴが前面にでるような「作品」はつくりたくありません。施主の価値観と真摯に向き合い、お互いを尊重する事から全てはスタートすると信じています。
2.心地よい空間を目指します
「斬新、新しい、かっこいい」ではなく「心地よい」空間を作りたいです。時間をかけた誠実なものづくりには自信があります。
3.内部と外部の繋がりを重視します
庇やパーゴラ、デッキ、格子、ベンチ等により内と外の中間領域を積極的に計画します。特に外構計画(植栽)は大切にしています。日々成長し、様々な表情を見せる緑はすまいに彩りを与えてくれます。
4.ローテクな住まいを目指します
高価な設備機器に頼らないローテクな家を目指します。暑い時は窓を簡単に開けられる、寒い時は簡単に間仕切ることができるなどといった、ごくごく当たり前の事を慎重に計画します。周辺環境を読み取き、光の入り方や風の流れ、隣地の様子、敷地から見える景色など、敷地のポテンシャルを最大限活かします。
5.長所・短所をきちんと説明します
どんな案、素材、設備にも長所/短所が必ずあります。特に短所を正しく理解していただくことで長く快適に暮らすことができると考えています。例えば空間のボリュームが大きくなれば空調効率は不利になることは誰にだってわかります。そのデメリットを超える圧倒的な魅力がないと計画してはならないと思います。当事務所では詳細な模型等により長所/短所を十分理解していただいた上で計画を進めるようにしています。
理想の建築〜如己堂〜
僕がいちばん好きな(最も影響を受けた)建築は長崎市内にある「如己堂(にょこどう)」という2帖一間のとても小さな住まいです。医学博士であり著作「長崎の鐘」で有名な永井隆さんとその2人の子供のために友人らが手づくりした住まいです。ここで原爆の後遺症の療養をおこないつつ数々の著作・研究活動をされています。
たまたま「如己堂(にょこどう)」という不思議なネーミングとその響きに惹かれて興味半分で立ち寄りました。正直「よくこんな狭い所に家族3人で住めたな。。。」と思ってしまいました。ところが隣の記念館にあった息子さんの手記を読んでとても感銘を受けました。
『これが僕たちの新しい住居です。浦上のカトリック信者の方たちが建てて下さった2畳の部屋で、香台もあり、廊下もあり、お手洗い、風呂場もありました(中略)この2畳の間はおとうさんの病室であり、居間兼食堂兼応接間であり僕たち親子の祈りの場であり、病室でもありました。おとうさんはこの小舎に如己堂となづけました。【なんじに近きものを己の如く愛すべし】との教えから来ていると教えてくれました』
家族と周りの支える人たちの想いが詰まっている本当に素晴らしい建物です。本当の豊かさとは何かということについて考えるきっかけを僕に与えてくれた建築です。
如己堂
如己堂