■コクピットハウス
『吹き抜けのある家族の気配の感じられる住まい』というお施主様のリクエストを素直に形にしています。すべての居室がリビングの吹抜空間に面するように配しています。リビングを『街のひろば』それぞれの個室がそれを取り囲む『建物』と見立て、住まいの中に『街並み』を形成するようなつもりで設計を進めました。
当初は吹抜の方向性を自分の中で見つけきれないまま進めていましたが、模型でのスタディを繰り返すうち学生の時に尋ねたヴェネツィアの記憶とリンクしたことで一気に弾みがつきました。ヴェネツィアと言っても有名な大運河ではなく小さな運河に面した裏通りの光景です。各家の窓やテラスが決して広くない小さな裏通りや運河に面しているのですが、とても味わい深いもので街路から見上げた時の空間の豊かさは非常に心地よいものでした。
吹抜上部に突き出した書斎は旦那様の趣味の部屋です。2階の子供室は格子によって光と風をリビングに引き込みます。将来は壁等で間仕切る事になるでしょうがお子様がまだ小さいので家族との関わりを重視しました。趣味室の間に設けた2階の洗面コーナーや鉄骨階段なども加わり全体として非常に豊かな表情を見せる住まいとなりました。
玄関横の家族用の裏玄関からはキッチンまで続く使い勝手の良い納戸を設けています。また屋根付きのテラスにはロール式の網戸を設け夏期の使用頻度を上げるとともに室内で飼っている猫達の最高のひなたぼっこの場所となっています。
吹き抜け空間が大きいので設計段階では大型模型で光の入り方や空間の広がりをお施主様にも体験していただき慎重に決定していきました。
これから家族の成長とともに各部屋が使い込まれていくことでリビングから見える風景も少しずつ変化していくことと思います。
竣工写真
プレゼンテーション資料(一部)